To.カノンを奏でる君




 みんなで和気藹々と食事をし、それが終わる頃。メインは食事からお菓子へと変わっていった。

 何かを言っては笑い、の繰り返しで、早河もだんだんとこのメンバーに慣れて来た。


「さて。ここらでプレゼントを渡しちゃいましょうか」

「あ、賛成」


 直樹が切り出した提案に、美香子が乗る。

 にこにこと笑いながら直樹は立ち上がり、冷蔵庫からショートケーキを持って来た。


 大きなフルーツ盛りだくさんのショートケーキに、美香子以外のメンバーが感嘆の声を上げる。


「これは、アタシからのプレゼント」


 ドンと祥多の前に置くと、祥多は驚きながらも嬉しそうにありがとうと言った。


「じゃあ次は私ね」


 美香子はスーパーの袋を祥多に差し出した。


「林檎! 今回は奮発して、十玉」


 これには皆で大爆笑。

 プレゼントに林檎十玉。きっと前代未聞だ。


「ちょっと、笑う事ないじゃない! 林檎しか思いつかなかったんだもの」

「いや、嬉しいぞ。ありがとな、葉山」


 涙が出るほど笑いながらも、祥多は美香子のフォローをする。

 美香子は口を尖らせていたが、祥多がいいと言うならと機嫌を取り戻した。


「じゃあ次は、私と早河君から」


 花音が目配せすると、早河は笑顔で頷いた。


 祥多、美香子、直樹の三人はそろって首を傾げる。

 二人からのプレゼント。どういう意味だろうか。お金を出し合ったという意味か。

 花音の言葉に、三人は不思議がる。