To.カノンを奏でる君

「あ、ほら、打ち合わせしましょ」


 直樹は三人をソファーに座るように勧めながら言う。

 直樹はスケッチブックを出した。


 三人が、どこから取り出して来たのだろうかと疑問を張り巡らせる中、直樹はスケッチブックを開く。


「まず、タータンには勝手に家に入って来るように指示してあります」


 祥多らしき人物が家の中に入ろうとしている絵を見せる。


 それから次を捲った。


「そしてそして、入って来たタータンに、みんなでクラッカーを鳴らしまーす」


 花音や美香子や直樹が笑顔で、直樹の隣は犯人のシルエットのような人物がクラッカーを鳴らしている。

 三人はそのシルエットに釘づけになる。もしかしなくても、あれは早河だ。


「で、タータンは驚く、と」


 締めは祥多らしき人物の驚いた様子。

 その次を捲ると、ジ・エンドの文字。


 直樹は満足そうに頷いている。三人は黙って直樹を見つめていた。


「何、今の」


 辛うじて美香子が直樹に問うと、直樹はにんまりと笑った。


「タータンサプライズの説明」

「いやいや、口だけでいいでしょ」

「えー。それじゃ楽しくないー」

「子どもに説明するんじゃないんだから」

「夜なべして作ったのにー」

「こんなのに時間かけるくらいなら昨日のうちで飾りつけしときなさいよ! そしたら私は一時間遅く来れたでしょうが!」

「ゔぅ」


 尤もな言葉に反論出来ないのか、認めてもらえず悲しいのか、直樹はしょんぼりと落ち込んだ。