「何だ、それ」

「毎年ね、私と君と直ちゃんとでクリスマスパーティーをしてたの。これは、中3の時に直ちゃんが君にプレゼントしたアルバム」

「プレゼントにアルバム?」

「ね。結局、私には見せてくれなかったんだよ」


 そんな風にぼやきながら、花音はアルバムの表紙を開いた。


 一番最初のページには、花音の写っている写真が三枚貼られていた。


「わ、私?!」


 花音だけなのに驚き、花音は次のページを開く。そしてまた出現する、花音の写真。

 その次も、その次も、写っている写真のは全て花音だった。


 花音は唖然として声を発する事が出来なかった。


 祥多は固まっている花音からアルバムを奪い、中身を確認した。そして頬を引き攣らせる。

 最初から最後まで、全て花音オンリーのアルバムなのだ。


「何なんだ、これ。写ってんの全部お前じゃん」

「や、私もびっくり。……あぁ、そっか。これもらった時、祥ちゃんが顔真っ赤にして怒ったのって」


(私ばかり写っているアルバムだったから?)


 あの時の事が、如実に蘇る。大好きだった彼の照れた顔、怒った顔。

 自分は本当に想われていたのだと知った。


「……っ。ふ……っ」


 泣くまいと必死に唇を噛み締めても、溢れる涙は止められなかった。

 花音は祥多に背を向け、拳を握っては懸命に涙を堪えようとする。