ダンスの時間もみんなの中には入らず、少し離れた所で踊っている。


主任の先生にリズム感はかなり良いと言われたが、運動会の練習に参加出来でも、本番では難しそうだ。


運動会本番は私が一緒に参加しようと決めていた。


運動会当日お父さんは仕事で、私は年子の薫と光の両方の競技に参加して、クタクタに疲れてしまう。


昼食の時、光は隣の友達の家族をずっと見ていた。



どうしたのかと思っていると。


「あれ食べたい。」



光が指差したのは、三段の重箱に詰められたお弁当だった。


うちのお弁当は大きなタッパーに詰めたおかずと、お握り。


我が家に重箱はない。



光に来年の運動会は、重箱に詰めたお弁当を持って行く事を約束した。


それから毎年運動会には、重箱に詰めたお弁当を持って行っている。


中身はいつものお弁当とさほど代わりはないのだが、要は入れ物なのだからと、自分に言い聞かせて。


光はこの頃から、言葉で伝えてくれる事が多くなり、言葉の重要性を感じた。


言葉で伝えてくれるようになったが、まだ、会話は出来ていない。


光が一方的に要求をすることに、私が答えているという感じだ。