光は喧嘩を好まない。


絶対に喧嘩をしないのだ。


兄弟喧嘩はもちろんの事、夫婦喧嘩をすると必ず仲裁に入り、喧嘩は駄目だからねと言われてしまう。


光の前では夫婦喧嘩も出来なくなった。


大きな声で怒鳴ることも嫌う。


そう言えば、小さい頃も高い音や大きな音にびくついて大泣きをしていたことを思い出した。


光に友達はいない。


おいかわ病院の仕事も一人でコツコツとやれるので、光にはそれが適していると思っている。


光が今望んでいることはなんだろうか。


今日は私が仕事が休みだったので、光を小さな時から行っている床屋に連れて行く事にした。


帰りに本を買いたいと言うので連れて行くと、やっぱりヒーロー物の本。


その本を私に見せて、これが欲しかったんだと嬉しそうに光が言った。


25才にしてはかなり幼い光だが、それで良いと思えてしまう。


光はみんなよりかなり遅いけれど、確実に成長していることは確かだから。


欲張っては駄目だ。



いつも自分に言い聞かせていた。