さっきのシリアスな雰囲気とは一変。ハチが驚いた顔をしてそう聞いた。
その質問に、No.5の表情が更に歪んだ。あ、やっぱり照れてるんだ。
「調子に乗んなよ。お前のことなんか心配してねぇ、俺はいつまでもその女が生きてんのが気にくわねぇんだよ。」
「嘘つけー、何年お前と一緒にいると思ってんだよ。そのくらいわかるっつーの」
ハチがニヤニヤしながらそう言うと、No.5は頬をピクピク動かして何も喋らなくなった。
「海、手当してあげるからこっちおいで。No.5、割れた窓とマグカップ、元に戻しとけよー」
そう言いながら、ハチはあたしの手を引いていく。No.5はしぶしぶ、窓の方へ歩き出した。
わお、あのNo.5が窓直そうとしてくれてるよ。意外、ハチには逆らえないんだ。
「海、大丈夫か…?」
心配そうな瞳であたしを見つめてくるハチ。目があったとき、No.5との会話を思い出した。
あたしが、ハチを……
いいや、ダメだ。考えたら伝わっちゃうんだから。考えるのもやめにしよう。
「大丈夫だよ。傷、そんなに深くなかったみたいだし」
血は結構出てるけど、立っていられるということは、きっとそんなに深くない。
良かった。
「ごめんな……No.5、ほんとはいいやつなんだよ。許してやってほしい…」



