あたしは学生カバンの柄を
グッと握りしめて、そこで
先輩が来るのを待った。



15分ほどで一番登校の
ピーク時間になり、
引っ切りなしに生徒が
目の前を通っていく。



……ちなみに、風見先輩を
待つ女子の数もさらに増えてた。



「そろそろかな……」



陵が独り言のように呟いた
のと、ほぼ同時。



ザワッと辺りにどよめきが
走って、校門に近い方向
から、誰かの上擦った声が
聞こえてくる。



「風見先輩っ!!」



(…………来たっ)



あたしはゴクッと息を
飲んで、木陰から一歩を
踏み出した――。





     ★★★★★



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