なんてな。

ホントは会うために、
大急ぎで駆けつけたんだけど。



けどそんなことは露とも
知らないあんずは、
嬉しそうに頬を赤らめて、



「あたしもです!
でも、会えてよかったです。

あの時はありがとう
ございました。

それで、これ――…」



鞄から取り出したのは、
言うまでもなく、オレが
貸したあのハンカチだ。



「本当にありがとうござい
ました。

あの時はちゃんとお礼も
言えなくて……」



「そんなの全然かまわないよ。

ハンカチ綺麗にしてくれて、
なんかこっちこそありがと」


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