[完]愛しいキミは♂大親友♀ 〜女装男子の悩める日々〜

………ようやくわかった。



この人は、あたしの知ってる
風見先輩なんかじゃないって。



ていうか――あたしが思い
描いてた“風見先輩”が、幻で。



……そんな人は、実際には
どこにも、いなかったんだって。



でも………



(どうしよう。今さら
気づいたって、遅い――…)



先輩の体がグッとのしかかり、
あたしの体がさらに深く
ソファに沈む。



賑やかなカラオケボックスだ。

きっと誰も気づいたりしない。



「……いい子だね。

好きだよ、あんずちゃん――」


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