[完]愛しいキミは♂大親友♀ 〜女装男子の悩める日々〜

(………あっ)



不穏な空気を、オレはこの
距離でも敏感に察した。



――あのヤロー、あんずの
腰に腕回そうとしてる!?



(させるかっ)



オレはしょってたリュックの
中から、大急ぎでゴムボールを
取り出して投げた。



シュッッ、と空を切って
飛んだボールは、見事
風見の手の甲に命中する。



「――――っ!?」



驚いた顔をして後ろを向く風見。


オレは素知らぬ顔で歩き続ける。



「どうしたんですか、先輩?」



立ち止まって振り返った
あんずがそう言ってるのが、
口の動きでわかった。


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