「ど、どうかしたの…?」


『いや…なんでもない。

―まぁ、今度敬語使ったら…“こう”する』




俺は顔を近づけ、唇のスレスレ横を舐めた。


ちょっとしたイタズラ心だ。


彼女は口元を押さえて顔を真っ赤にする。



「ちょ、何するのレオくん///っ!?

…あっ!!
ち、ちち遅刻しちゃうよ!

レオくん早く!!」



『うわっ、ちょ…!?』




彼女は顔をひとつねりすると(痛そう…)

俺の手を華奢な自分の手で掴んで大通りの方へダッシュした。



その必死に走る姿は―…



なぜか





“懐かしい”と思ってしまった…。





俺はこの気持ちがどういうのか…

まだ分からなかった。