「すみません…眼鏡が重い本に潰されちゃってて…」
持ち物だと思われる淡い黄色のハンカチに包まれていたのは、正しく私の眼鏡だ。


正確には『眼鏡だった』の方が正しいのかもしれない。

レンズには大きな傷がついているし。

全体的に歪んでいて使えそうにない。


「お詫びに俺が修理代、出します」

眼鏡を私に渡した後、望月さんは頭を深々と下げた。


「えぇ!?そそそ…そんなの大丈夫ですよ!!お金なんて…」

私は、どうしたらいいか分からなかった。


だって初めて望月さんと話を出来たし。

初めて大人の人に頭下げられて…。