子うさぎにお月様を

「可愛い名前ですね」

あの人は、そう言って微笑んだ。

私の頬は火照る。

ドキンとした、この感じは痛いのに心地がいい。

「俺は、望月 晴宗と言います」

私のなかで、『あの人』は望月さんと変換される。

「この図書館で司書をしています。時々、君を何度か見てました。本が好きなんですね」

「はっ…はい」

「俺と同じだ」

微笑みと違う、笑い方。