「ねぇ」



俺が声をかけると、その子は顔を上げた。


やっぱりこの子だ。


何か、こんなに近い距離で見るのは初めてかもしれない。



大きな目に、スッと筋の通った鼻。薄い唇は少しぷっくりしている。


その子は、無言でその大きな目で俺をじっと見ていた。



「あの、コレ。駅で落としたよね?」



俺はそういって生徒手帳を差し出した。


すると、その子は無言だったが、頭を下げながら受け取ってくれた。


「にしてもさ、君学校は?」



何となくもっと居たくて聞いてみた。


俺も聞ける立場では無いのだが。