その時、後ろから気配がしたから振り返ってみると…


沖田さんが立っていた。


「御早う御座います。桜さん」


「……御早う、御座います……」


沖田さんは相変わらずの様子だ。


「桜さん、起きるのが早いですね?」


「…えぇ、まぁ」


何故だか身構えている自分。


そんな私を余所に、沖田さんは井戸の側に近寄り顔を洗う。


「………」


私は特に何もする事もなく、その場でただ突っ立ったまま空を見上げた。


空にはもう、太陽が昇っていている。


とっても清々しくて、本当に気持ちがいい。


沖田はそんな桜をこっそりと見詰めていた。


その瞳は昨日と同様に疑っているような…そんな瞳をしていた。



「………桜さん、随分と余裕…何ですね?」


「え?」


空を見るに夢中になって、沖田さんがいるのを忘れてしまっていた。