すると突然、総司が
「中に入って来ていいですよ」
と、誰か襖の外側に居るらしい人物に声を掛けた。
てか、総司。
此処を誰の部屋だと思ってんだ?
俺の部屋だぞ?
自分の部屋に上がらせるように呼びやがって…
俺は、そんなことを思いつつ新しい隊士でも入るのか、と軽く考えていた。
しかし、俺の考えは見事外れ、中に入って来てたのは男ではなく女だった。
しかも、見たこともない服装をしている。
何だこいつ…
長州の間者か?
総司の話によると不逞浪士どもを四人倒したらしい。
しかも竹刀で、女一人で。
正直、その話を聞いた俺は驚いた。
刀に対して、竹刀で立ち向かうなんて勇気がある。
女の方をみるとそれが当たり前のような表情をしていた。
この女強いな…
俺は1人で納得しながとりあえず何処から来たのか尋ねてみた。
「………」
しかし、何も喋らない。
もしかしたら本当に長州の間者の可能性があるかもしれない。
幕府に歯向かうものならば、女だろうが子供だろうが容赦はしない。
俺は鞘から刀を抜き女の喉に刃先を向け、言った。
「いわねぇつもりなら長州の間者と見なして…………
斬るぞ…」