「あの日の夜か…」


ツゥ――…


頬に冷たい水が流れた。


「あっ、あれ…」


私はその水のせいで濡れた部分を制服の袖で拭った。


しかし、目から溢れ出てくる水は止まってはくれなかった。


「おっ、おかしいなぁ?」


いつもならすぐに止まる筈なのに…


「何で?…何で止まってくれないの?!」


何で…どうして…?


泣くな…泣くな私。


私には泣く資格なんて無いんだから…


大丈夫


ここまで自分一人で生きてこれたんだから、この先何があっても大丈夫。


そう自分に言い聞かせるように頭の中で繰り返し言った。


「…っ、」


暫くして目から溢れ出た水は止まった。


泣くなんて本当久しぶり…


もう泣かないって決めたのに。


もっと強くならなくちゃ…


ここで生きていくためにも。


足手まといだけにはなりたくない。