「きれい…」


鞘から露わになった『妖刀』の刃紋はとてもきれいだった。


「この刀俺に売ってください」


後ろに振り返り、唖然とした表情でこちらを見ていたお爺さんにもう一度売ってくれと頼む。


「…いいじゃろ」


私が声をかけるとハっと我に返ったお爺さんは言った。


「きっとその刀はお主を待っておったんじゃな」


「俺を?」


コクりと頷くお爺さん。


「刀に選ばれたんじゃ。じゃから…」


じゃから?


「その刀はお主にあげよう。」


「えっ、いいんですか?」


驚いた私の表情を見て、ほっほっほと笑いながら「よいよい」と言うお爺さん。


「ありがとうございます!!!」


ばっと、頭を下げてお礼を言う。


すると、またほっほっほと笑い声が聞こえてきた。


「あの、一つ尋ねてもいいですか?」


「何だね?」


「この刀の名前は何ですか?」


刀とか確か名前みたいなのがあったはず。


それを知っとおきたいと思った。


「あぁ、すまないがその刀に名前はない」


それを聞いた私は少し肩を落とした。


妖刀だからないのかな。


仕方ないか…。


「でも、それを持ってきた人は確か…桜…、なんじゃったっけのぉ…?さくら…、そうじゃ、"桜華"と言っとおったな!」


手のひらの上にポンと握った拳で軽く叩き、思い出したと言うお爺さん。


「桜華(オウカ)…ですか?」


もう一度聞けばうむ、と頷いた。


桜華…、とても


「とても、いい名前ですね」


「そうじゃな、大事にしてやっておくれ」


「はい!」