本当にどれにするか決めないと。


グルグル、グルグル…


あっちにいったり、こっちに行ったり。


店内の中心に来て、ぐるりと一周みまわした時、


「あっ」


ひとつ、私の目に留まったものがあった。


引き付けられるように、その刀に近づく。


「ん?何かいいものがあったのかね?」


「はい。あの、そこにある刀なんですけど…」


私は先ほど、一緒に探してくれたお爺さんの後ろの壁に飾られている刀を指さした。


「ああ、この刀かい?」


「はい」


「すまないが、この刀はダメなんだ。諦めておくれ」


申し訳無さそうに言うお爺さん。


だけど、私はどうしてもその刀がきになって仕方がなかった。


「何でですか…?」


どうしてもその刀がよくて、すごく惹き付けられる。


なんでだかわからないけれど、一度でも手に取って鞘から抜いてみたかった。


「この刀はどうしてかわからないが鞘から抜けんのじゃよ」


お爺さんは苦虫をつぶしたように顔をしかめた。


そしていきなり声を少し小さくしていった。


「…おそらく、この刀は妖刀(ようとう)なんじゃよ」


妖刀…?


「まさか、そんなモノが本当にあるんですか?」


妖怪の気を纏った刀。


そんなものが本当にあるのか。


「ワシも最初はありえんとおもっとったが、本当に抜けんのじゃ。どんな、お侍が来て抜こうとしてもびくともせぬ」


どうしたものか、と皺をさらに寄せて唸るお爺さん。