急に黙りだした先輩。


どうしたんだろう…?


「竜哉先輩?」


もう一度、名前を呼んでみた。


「それと、な……お前変わった」


「え?」


「お前、変わったよ。」


変わった…?私が?


何が変わったのだろうか?


「何て言うんだろうな…雰囲気か?…それが柔らかくなった気がする」


「何ですかそれ」


ふふふ、と笑って誤魔化そうとすると先輩は真剣な顔で「変わったんだよ」と言った。


「よく笑うようになった」


「私はいつも笑ってます」


「嘘つくな」


「………。」


「嘘つくなよ、」


「………」


「お前、笑わなかったろ…」


私はただ、川の向こう岸を見つめた。


「………」


「俺の前でも無理して笑ってただろ…」


「………」


「お前は…、変わっていいんだぞ」


「っ……」


肩を掴まれ、無理矢理と先輩の方に体が向き、目があった。


その瞳は真っ直ぐで、逸らすことができない。


「っ…私は、今も昔も変わりません」


「さくら、」


「変わってはいけません」


「っ――…」


「私は変わらない。あの日から、私は止まってしまったままです」


そう言い、またふふふと微笑めば先輩は悲しい瞳をした。


「お前は、それでいいのか?」


「はい」


「……そうか」