ここにきてふと、ある疑問が頭に過った。
「先輩は何故、ここにいるんですか?」
私がここにいる時点おかしいのだが…
でも、私は一度は死んだ身。
タイムスリップする前、トラックに轢かれてきたのだ。
だから、非科学的で理不尽な理由だが我ながらなんとなく納得してしまう。
でも、先輩は?
まさか、私と同じように死んだ身なのか?
「あぁ、俺はわからない」
「え?」
あまりにも、あっさりと答えられてしまった。
わかんないんだよ。と言いながら困った感じに笑う先輩。
「なんか、目が覚めたらこの時代にいたんだ」
「なるほど…」
「あの日、お前が遅くまで一人素振りをしていただろ?」
私が呟くと先輩はいきなりあの私が事故にあった日のことを話始めた。
「はい…」
「もう辺りは暗いから『送る』って言ったのにお前は逃げるから慌てて追いかけたんだよ。だけどお前、逃げ足だけは早いんだな。追いつかなかった」
どこか遠くを見つめる先輩。
きっと、今の先輩の目にはあの日のことを思い出しているんだろう。
「………」
そんな先輩を私は横目で見ながら、何も言うことなく次の言葉を待った。
「でな、やっと追いついたと思ったら…」
少しの間をあけ、先輩は。
「お前が轢かれていた」