「大丈夫か!?桜!」
近くで原田さんの慌てた声が聞こえる。
「桜さん大丈夫ですか?」
沖田さんの心配した声も聞こえる。
どうやら私は誰かとぶつかったようだ。
その衝撃で私は後ろに倒れてしまったようで、二人の心配そうな顔が上から覗きこんでくる。
「大丈夫です…」
そんな二人に私は言った。
しかし、倒れたときに手をついてしまったようで、手がじんじんと痛んだ。
「す、すいませんっ!」
と、突然二人の後ろの方から人の声が聞こえた。
「お怪我はありませんか!?」
そう言いながら沖田さんと原田さんの間を割って現れた人は、私に手をさしのべる。
逆光で顔はよく見えないが、背丈や声の低さで男の人だとは分かった。
「…大丈夫です」
私はそう言って、さしのべられた手をとるか一瞬迷ったが、沖田さんの時のことを思い出してまた、相手を傷つけると嫌なので手をとった。
「…ありがとうございます」
グイ、っと手が引かれる。
「そちらこそ、すみません…前の方をよく見てなかったので、それに…」
男の人がいきなり黙った。
「(?)」
前を向く。
太陽の光がが眩しくて見えなかった顔が、男の人と光が重なり見えた。
「!!」
うそだ…
目の前にいた人を見て私は一瞬、息が止まった。
「さくら…?」
「さくら」っと発した声は今私の目の前にいる人から聞こえた。
「お前、桜なのか…?」
「………」
驚きのあまり、声が発せられない。
だって、今私の目の前にいる人はこの''時代''にいるはずのない人。
「たつ、や…先輩……」