「にしても原田さん、来るの早いですよ。いっそのこと先に帰っててもよかったんですよ?」
「お前と桜を二人っきりにさせとくと色々危ないしな。だから土方さんがわざわざ俺に頼んだんだろ。心配性の土方さんを不安にさせてどうすんだよ」
「別に僕は"護らない"とは言ってませんもん。あの人が大袈裟に考えただけですよ」
そう言った沖田さんは、口の中に残りの餡蜜を入れた。
「はぁ、まあいいか。」
そう言って原田さんも呆れた顔をしながら、きた団子を食べはじめた。
―――――――
それからは、いつもとなんら変わりない会話をして甘味処を出るためお会計を済ませた。
原田さんが全部払ってくれたのだ。
「あの、原田さん。ありがとうございます…」
と、私がお礼を言うと一瞬驚いた顔を見せたがすぐに笑顔になって、
「いいよ、気にすんな!」と言ってくれた。
私がお礼を言うとそんなに驚くの?
…ほんとに私いつもぶすっ、としてるのかな?
沖田さんに言われたことを少し思い出した。
「そうですよ~桜さん!気にすることないです」
「………」
あなたは少し気にした方がよいのでは…?
「あー、おなかいっぱいで幸せです!」
「お前、よくあんな量を一人で食べたよな…。見てるだけで腹いっぱいになった…」
「美味しいものはたくさん食べたいじゃないですか!ねっ、桜さん?」
「だからってあの量は…」と気持ち悪そうにして言う原田さん。
確かにあの量はね…きついよ。
私は「そ、そうですね」と答えながら暖簾(のれん)を潜った。
どんっ!
「!」
「あっ…すいません!」