刀と刀がぶつかり合う音がした。
痛みが全く感じられない。
私は不思議に思いながら閉じていた目を開けた。
(あ…れ?生き、てる…?)
「何で…?」
私の思考は停まってしまった。
そして、私はその停まっている思考のまま今の状況を理解しようと、前を見た。
「……ッ、」
目の前で起こっている出来事を見て驚いた。
さっき、私を斬ろうとしていた男が別の男と戦っていたのだ。
(あの羽織どこかで……)
私は一生懸命あの羽織のことを思い出そうとするが思い出せない。
しかし、次の瞬間
ザシュッ!
肉を切り裂く音が辺りに響いた。
バタリ…
血を流しながら、さっきまで戦っていた男は倒れていた。
この人は死んだんだ。
