そんな土方さんをよそに、私は廊下に立っている沖田さんに目を向けると、障子を越え、部屋の中へと足を踏み入れる沖田さんがいた。
その間にも、土方さんは眉間に皺を寄せ続け、沖田さんはその様子をにこにことした笑顔で眺めている。
「何ですか~土方さーん。僕じゃ"不満"は無いけど"不安"があるんでしょ?だったらそう言って下さいよ~」
何とも間延びした話し方をする沖田さん。
そんな沖田さんを見て、土方さんは溜め息を吐いた。
「もぅ、溜め息吐かないで下さいよ~!ちゃんと僕が桜さんを護りますから!!」
「俺が溜め息を吐いている理由を知って言ってるのか?」
「はい。分かってますよ?」
土方さんの問いに、あやふやなようでちゃんとした返答をする沖田さん。
「だったら、わざと不安にするような言葉を発するな…」
「分かりましたよ~。桜さんの護衛はこの僕に任せて下さい!!」
んー…
会話の内容は良く理解できないけど…何か纏まってきたみたいだ。
元気よく言う沖田さんを見て土方さんは、本日何回目?っと聞きたくなる溜め息を吐いた。
そんな土方さんを、沖田さんは楽しそうに一瞥し、体をくるりと回転させ方向転換をおこなった。
「それじゃあ、出かける準備をしてくるので、桜さんも準備が終わり次第、屯所の門の前に集合ということで」
沖田さんはそれだけ言うと、私の返事も聞かずに部屋を出ていってしまった。
「………」
「………」
何故か、土方さんと私の間に沈黙の風がふく。
「………」
「………」