部屋を出て、自室に向かった。
「ふぅ…」
歩きながらさっきまで溜まっていた息を吐いた。
まさか…本当に私に仕事が回ってくるとは思いもしなかった。
半信半疑で「仕事ですか?」と聞いてみたら、そうだと言われた…
少しは信用されたってこと?
そうだとしたら…
桜は、胸に熱い何かが込み上げてくるような感覚に襲われた。
「…?」
何だろう?この感覚…
今まで感じた事がない…否、違う。
忘れていた感覚…?
だとしたら、この感覚は何?
「…はぁ、考えるだけ無駄か…」
この"感覚"は多分、何かしらの"感情"。
だから私は考えるだけ無駄なんだ。
(殆どの感情はあの日、捨ててきた)
私に必要のない感情は全て。
私は捨てたつもりだが、きっと捨てきれなかった感情もあると思う。
「………」
やっと自室の前までたどり着いた。
スゥ―――…パタン…
「…はぁ」
私は部屋に入るなり直ぐに襖を閉めて、部屋の真ん中辺りまできて本日二度目の溜め息を吐きながら、パタン、と膝から力が抜けるように座った。
閉ざされた襖からは、日の日差しが差し込んでくる。
感情は荷物なだけ。邪魔なモノ。
そう思って、私は捨てたんだ…
「だから、この感情が何なのか分からなくていい。知らなくていい…」
それに、本当に信じてもらえたのか確証がない。
ただの、力試しみたいなものかもしれないんだ。剣道が強くても実戦でつかえなきゃ意味がない。
ここで生きていくには、強くなければいけない。
