「うぉー。いい臭いがする」


「本当だ、桜、朝飯出来たか?」


永倉さんが早くと言わんばかりに聞いてくる。


「あぁ、はい。出来てますよ」


お口に合うかどうかは分からないけど…


「よっしゃー!平助、さっさと食おうぜ!」


永倉さんは私の答えを聞くなり急いで自分の席に着いた。


「あぁー!しんぱっつぁん、抜け駆けは狡いぜ!!」


藤堂さんも永倉さんの少し後ろを付いていき、席に座った。


私はそんな光景を眺めていると…


「桜?そこで何やってんだ?」


息なり後ろから耳元で話しかけられた。


ガチャッ――


「わっ」


私は体勢を崩し今度こそ食器を落としそうになり、自分も一緒に倒れそうになった。


「おっ、とー。あっぶねー」


しかし、間一髪のところで誰かに支えられ、食器も割れたりはしなかった。


「あ……ありがとうございます」


この声の主は…原田さんだ。


「良いってことよ」


原田さんはそう言って微笑んだ。