――否
正確には、私の意思が何処かに行ってしまっている。
ここにではなく、他のところにある。
現実ではない、自分の世界のようなところ。
だって、あまりにも沖田さんが綺麗だから。
男の人に綺麗なんて可笑しいかもしれないけど、今の沖田さんにはその言葉がしっくりくる。
前にもこんなこと思った事があったな…
口の端に弧を描くように笑う沖田さん。
ドキン――
私はその姿にまたしても心臓が鳴ってしまった。
どうしたんだ?
何でこんなにも心臓がドキドキいってるんだろう…?
こんなに心臓が鳴ったのは初めてで、何故鳴った理由がよく分からず頭の中が段々絡まっていく。
この人は…
よく分からない…
私はそう思った。
そして私はいつの間にか、そんな沖田さんに見とれていた。
部屋は再び静けさを取り戻した。
「………」
「………」
沈黙、沈黙、沈黙…
この沈黙は何時まで続くのか…
と、思った時、沈黙を破ったのは沖田さんだった。
