secret voice

〈私は耳が聞こえません。唇を読むことは出来ますが話すのは得意じゃありません。携帯を使って駅員さんに話をするのでもう大丈夫です。助けてくださってありがとうございました。〉

私は頭を下げると彼に背を向け駅員さんの方に歩いていく。

助けてもらったのには感謝しているけど…
もう関わりたくない。

男の子は後ろから私の腕を掴んで私の前に出てきた。

伊織「ごめん…。
俺けっこうキツいこと言ったよな…。」

私はびっくりした。

伊織「事情聴取…ついてく…。その…耳聞こえないと大変だろうし。
もちろん…アンタが良ければだけど…。」

私は小さく笑うと携帯に文字を打ち込んだ。

伊織「わ、笑うなよ!」〈ありがとう。〉

…目つき悪いし気ちも悪いけど…。
やっぱり優しい人なんだ。