「やあやあ皆さん、
ごきげんよう」
吉良よしおが引き
戸を丁寧にあけた。
ひょろりと高い身長
を折り曲げて、声を
はりあげ、360度挨
拶する。きらっとし
た光が、なおの
角膜をすべる。
「うおっ! なおち
ゃんっ」
びよ~んっと、たっ
た2歩で窓ぎわまで
やってきて、なおを
抱きしめる。空気が
ピシリと固まったの
を感じた。ゆみが凄
い形相をしている。
「なんかさ、スープ
臭すんだけど?」
首をかしげつつ体を
離し、まじまじと眺
める。
「なおちゃーん」
まぶたをとじて、白
い歯をこぼし、チッ
チッチ。1本立てた
人さし指をふる。



