ピシッと何かが張り
つめる。鼓膜は、薄
氷でできているのか
もしれない。チリチ
リとヒビの
入っていく音がなお
の耳に木霊する。
「ほんとに……あた
しのこと嫌いになっ
たの?」
わかりきったことを
聞く。信じたくない
っていうよりも、信
じられないのだ。憎
悪を宿した栗色の目
も、優しげな唇から
放たれた言葉も。あ
まりにも唐突にこん
な日々が始まったか
ら。昨日までは仲が
よかった友達に、突
然そっぽをむかれた
まま、このひと月あ
まりを過ごしてきた
のだ。理由くらい、
聞きたい。
「昔から大っ嫌いだ
から」
スープが目にしみる
。糸のような涙がな
おの頬を伝う。



