ゆみの意図に気づい
たグループのひとり
がそれを持ってきて
カナに突きだす。
「ちょっとさ、頭ひやしてやんなよカナ」
ゆみがニヤっとする。
「えー。
スープまみれで授業
受けてたらー、さす
がに先生もおかしい
と思うよ。声かけて
くるんじゃん? そ
したらこいつチクる
んじゃね?」
「そしたらさ、唇縫
いつけてやろうよ。
薄くて縫いやすそう
だし」
脅すように呟き、す
すり笑う。
「んー、トンちゃん
にやらせね? 親友
のやることだったら
チクんないんじゃね
」
「そっかあ。どうす
るトンちゃん?」
「貸して」
ぽこぽこへこみのあ
るアルミ製の容器を
取りあげ、迷わず歩
いてくる。



