正義感なんてカケ
ラもない。もしこの
みじゃなかたら、あ
たしは知らんぷりし
ていた。
「は? なんか言っ
た? ミイラ」
ミイラって。
吹き出しそうにな
った。
え、ミイラってあ
たしのこと?
だけどむこうは大
真面目だ。笑ったり
したらどんな風にさ
れるか……。深呼吸
しておのれを落ち着
かせる。
「まだ親友とか思っ
ちゃってんの?」
「思ってちゃ悪い?
」
ぎりぎりと恐怖をに
ぎり潰す。殴られる
かもしれない、この
みに拒絶されるかも
しれない。骨ばった
手のひらに短い爪が
沈んでいく。こぶし
をふるわせて、あご
をひく。
「うわ、うっぜぇ」
悪ぶって近づいてき
たカナに蹴られた。



