「ブタね。7時から
9時の間に出るんだ
っけ? 最近見たヤ
ツいる?」
カナが、つりぎみの
細い目でグループの
子をなめる。ハ虫類
の舌のような湿った
目つき。
「んー、いないんじ
ゃね。見たらすぐ通
報みたいな話になっ
てから出てないよね」
「うん。不審者のチ
ラシあちこちに貼ら
れてるし。バカじゃ
ないかぎりもう出な
いんじゃない?」
「そっかあ、つまん
ないね。捕まえて顔
さらしてボコりたか
ったのに」
顔サイズの鏡
で、髪型をチェック
しつつゆみは息を吐
く。
「ウケんだけど」
カナのあいずちを合
図に、このみ達は楽
しそうに笑いあう。
目の端や唇のふちに
戸惑いがにじんでい
る。



