「彼が自殺した理由
ってなんなの」
うーん……。
考えるようなまな差
しになって、彼女は
眉間に指をあてる。
「恋愛関係?」
「ふぅん?」
「そうね……。彼に
は好きな女の子が居
たの。ある時、その
子が川に落ちて、溺
れてしまったの。彼
は彼女を助けたんだ
けど……、自分の姿
を見られるのが嫌で
彼女に意識が戻る前
に逃げたの。まもな
く目を覚ました彼女
のそばに、カッコい
い男の子がやってた
。女の子は、その子
が自分を助けてくれ
たんだって勘違いし
て、結婚しちゃった
んだ」
平筆のような毛先を
いじり、ふぅっと疲
れたように息を吐く
。
「どっかできいたよ
うな話だね」



