゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚ 夜の端 。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。


「ふーん。そういえ

ばね、あたしがあず

かった手紙も、自殺

者のものなのよ。手

紙を届けたら、妖精

王が彼の願いを叶え

てくれるの」

「へぇ……恋人?」

「ちがう。足みたい

なもん。でも死んじ

ゃったから、最後く

らいあたしが足にな

ってあげるの」

「ふぅん」

水っぽい匂いに鼻を

ひくつかせ、ブタも

欄干によっかかる。

せらせらと流れる川

面には、月の光が藻

のように揺れている



「さしつかえなかっ

たら知りたいんだけ

ど」

金粉をまぶしたよう

な夜空に、チョキを

突きさす。

「なあに?」

甘くかすれた声。妖

精の声帯は、ザラメ

でできているのだろ

う。