゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚ 夜の端 。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。゚。


「……あんた、から

かってんの?」

「まじだけど?」

描かれたような眉を

もちあげて、首を右

に傾ける。切り口の

まっすぐな髪がブタ

の頭にかかる。ぷき

ぷき体を離すとブタ

は寸足らずな腕を

組み、少女は川を背

にして小さくあくび

した。

「知ってるよ。ここ

らへんで暮らしてん

だから。ここね、自

殺の名所なのよ」

「まっさかあ」

そんなの初耳だ。土

左衛門があがるのは

有名だけど。

「知らないの?」

葉ずれのように笑っ

て、イタズラっぽく

口角を引きあげる。

井戸の底にあるかも

しれない小石みたい

な黒い瞳は、しんと

冷えている。

「知らない……」

桃色の頭をふる。