昼休みが終わるまで
彼女のシャープペン
は動かず、ページも
めくられなかった。
なおはシーンと静ま
りかえった胸に手を
あてた。なけなしの
勇気が削られてしま
った、と思った。指
先から力が抜けてい
く。パラパラと風化
していけたらどんな
にいいだろう。こん
ないらない自分なら
ぐずぐずに崩れてし
まえ。悲劇的な気持
ちを笑いとばす
ように小さな手がさ
しだされる。ぷっく
らした、紅葉の人形
焼きみたいな
手が。
傷ひとつないまっさ
らなドングリがのっ
ている。なおは、胸
ポケットをさぐり、
息をついた。こんな
ちょっとしたことで
傷ついている自分が
恥ずかしくなった。
「全然傷ついてない
じゃん。大丈夫」



