妖精は苦い表情をし
て、ちらっとブタを
見る。
「月。でもさ、答え
ってそれだけじゃな
いよね。あれ、なぞ
なぞとして成立して
ないよ」
「うん。抗議しなき
ゃ。出所は?」
「『なぞなぞ奇跡ミ
ラクル坊やの難題と
苦難』って本」
ブタはぽりぽりと頭
をかいた。
「すごい題名だね」
「そうかな?」
はっはっは。
陽気に笑って、妖精
はあくびする。その
無防備な横顔に、ブ
タは見とれ
てしまう。ほんの少
し胸をときめかせて
まぶたをとじる。そ
の気配に、妖精はほ
んの少しせつなくな
る。決して悲しいも
のではない。ぼんや
りした明かりが、お
腹のまんなかに灯る
ような、不思議なせ
つなさだ。



