「あのさ」
彼が声を発すると、
教室は静まりかえっ
た。
「家出っていうか、
放浪の旅? 人生に
ついて考えてみたく
なって、ちょっとふ
らふらしてただけな
んだけど」
彼女はふきだしそう
になった。そんなセ
リフ、誰が信じるか
、と。しかしみんな
は違った。そんなバ
カバカしい一言で、
ほぼ全員が納得して
しまったのである。
あいつって、ああい
うよくわかんないと
こあるよなぁ、と。
なおとの関係につい
ては否定も肯定もせ
ず、冷たい視線を送
るのみ。態度で示す
のが一番だった。噂
は数日で息たえた。
「俺は納得してねぇ
からな。確実に家出
だったろ。なんか悩
みがあんだろ? 言
えよ」



