「やだよそんなの。
というよりさ、きみ
ひろ君。あたしを川
からひきあげてくれ
たのきみひろ君?」
骨がサビつきでもし
たみたいに、彼はキ
リキリと左右に首を
ふる。
「あたし達、たしか
に川に落ちたよね?」
「う、ん」
「だったらさ、じゃ
あ……誰が」
むあっとした陽気の
なか、ふるえながら
抱きあう。
「と、とにかく……
俺たち生きてるよね
?」
「うん……心中しか
けたみたいだけど」
きみひろは、ふぅっ
と息を吐いた。
「あのさ……死にか
けたことも俺が女に
なりたいってことも
、誰にも言わないで
ほしいんだけど」
「うん」
彼は肩の力を抜いて
、ふんにゃり笑った
。



