葉のすきまをさ迷う
、シジミ蝶。鼓膜を
弾く、小鳥のさえず
り。しとしとと流れ
る川の、涼やかな気
配。ぼんやりしなが
ら体を起こした。す
ぐ隣では、きみひろ
が寝息をたてている
。付けまつ毛は毛虫
みたいにはりついて
、顔色はマスカラや
アイシャドウで黒ず
んいる。化粧オバケ
だ。その口元には、
ささやかな笑みが浮
かんでいる。
「えーと……」
ななめ上にかかった
五色橋と、彼とを見
比べる。もやがかか
ったような頭をかき
、とりあえず彼をゆ
する。
「起きておきて、き
みひろ君」
彼は唇をナミナミさ
せて、むにゃむにゃ
する。耳に口をよせ
て息をすいこむ。



