なんもかける言葉が
見つからない。
「好きだよ」
仕方なく、なおはそ
う呟いた。
「え?」
きみひろが泣き顔を
あげる。恋人同士み
たいに見つめあう。
なおは、まつ毛をふ
せた。
「あたしを川から助
けてくれたの、きみ
ひろ君?」
マスカラの涙をぬぐ
って彼は首をふる。
勢いよく、土下座し
た。
「ごめん。おまえま
きこんで。ごめんな
さい。もう、自殺な
んかしない」
「やめてよ」
彼女は毛を逆立てて
飛びのく。
なんで好きな人に
土下座されなきゃな
んないの!
「無事ならいいし」
とは言いつつも、
少し腹がたっている
のは確かだ。
「本当にもうやんな
い?」
「やらない。川で流
されてる時、死にた
くないって思ったし
……直角が……」



