みんな何が楽しい
んだろう。あたしは
ぜんぜん楽しくない
のに。
雨の日の窓ガラス
みたいに角膜が不透
明になる。
「おぉぅい、お前ら
なーに笑ってんだ~
? 余裕だな~」
担任のまのびした声
に、くすくす笑いが
ピタっと止まる。
「はい、ゆうと、ど
うだ」
背後で息を飲む気配
がした。
ざまあみろ。
「どうした、俺が読
んでた続き読め」
「……わんない、で
す」
「ん? そんなこと
ないだろう。お前、
英語得意じゃん」
「いや、あの……わ
かんない」
教壇でねずみ色の回
転椅子をまわしてい
た常居は、ニヤッと
して立ちあがり、こ
っちに歩いてくる。
「ん~? おまえ、
ひとりで美術かなん
かやってんの? ど
うやったらハサミが
でてくるんだよ。聞
いてなかったろ」



