そして、彼女はなお
の本名を知っている
らしい。それが何を
示すのか……。知り
たくない。頭痛がし
てくる。
「妖精……なんであ
たしの名前知ってる
のかな?」
馬鹿な想像を否定し
て欲しくて、言葉を
絞り出す。
「妖精って……。ま
さかブタなの?」
頭の中がぐるぐるま
わる。濁流にのみこ
まれていくような気
分。
ああ、
この声は……。
「きみひろくん?」
気まずい沈黙がおり
る。ひゅうるり、さ
さくれだった風が、
渦をまく。妖精は観
念したようにうなず
いた。
「ウソ……」
自律神経がぶっこわ
れたような汗をかき
、なおは瞳を潤ませ
る。
「ブタなの?」



