「よ、う、せ、い」
大好きなお菓子を少
しずつ食べるみたい
に、呟く。ひらり、
と何かが脳裏をかす
める。パラパラと星
が降ってくる。頭の
上で、肩の先で、指
の縁で跳ねている。
一粒拾ってみると、
うす茶色の透明で、
なめてみると、甘か
った。
ザラメだ。
気づいた瞬間、幻
は霧散する。
「まっさかあ」
欄干に頬杖をつく、
少女の横顔がきみひ
ろの輪郭と、重なる
。
「たしかに、似てる
……。けど……」
ひざをのばして、五
色橋にむかう。
「妖精が、きみひろ
君なわけないって」
のんびりした口調と
は裏腹に歩く速度を
あげる。熱されてや
わらかくなったとこ
ろを、金づちで叩か
れたような奇妙な笑
顔をはりつけて、つ
ま先に力をこめる。



