お金にあてはないと
思う。こないだ、さ
んざん使ったから。
だとしたら、もう2
度と帰ってこないつ
もりじゃないだろう
か。つまりそれは、
……。嫌な想像がも
やもやとまとわりつ
いてくる。
「そんなわけない」
探さなければ。
あたしにできるこ
とは歩くことしかな
い、歩くために生ま
てきたんだという気
になって、とり憑か
れたように足を動か
す。呼びかける声は
かすかすに枯れて、
ガラガラしている。
気がついたら、人
通りが完全に絶えて
いた。民家に明かり
もない。ケータイを
開いて、びっくりし
た。もう、2時だっ
たのだ。真夜中の。
帰んなきゃ……。額
の汗をぬぐって、壁
に背をつける。



