「じゃ、決まりね」
眠たげな始業ベルが
死刑宣告のように聞
こえてきた。
「このみ」
悔しくて意味がわか
らなくて、意地にな
って呼んだ。髪の10
本くらいくれてやる
から、前みたいに仲
良くしてほしい。
「このみ」
呼ぶと同時に、ドン
っとイスを裏から蹴
られた。悪ぶった顔
をつくったうしろの
席の男子が
「はい、10本な」
肩につかないくらい
のストレートの毛を
、数えもしないで乱
暴に引き抜く。
「い!」
ぶちっていう音がし
て、つやつやした黒
い筋が宙を舞う。
痛い。
「2回言ったからも
う1回。あ」
ゆみがこのみに視線
をむける。
「このみやれば」
「え……」
一瞬体をびくつかせ
て、彼女は慎重に首
をふる。



