「やばいよ。あたし
も無理」
このみのあざける
ような声に耳をふさ
ぎたくなる。
「へ~、親友なのに
?」
「やめてよ、ゆみっ
ち。親友とか。小学
生じゃないんだから
さ」
「だってさゴミ女」
ぎゃはははっ。
みんなして手をたた
き大笑いする。胃の
あたりがキリキリと
ひきつる。意を決し
てまぶたをおし開き
このみをまっすぐ見
る。目があった瞬間
そらしたくなる。奥
歯をかんで胸ポケッ
トをにぎりしめる。
「このみ」
「気安く呼ばないで
よ!」
ふわふわした髪を撫
でながら鋭く叫んだ
。
それだけでなおはび
くついてしまう。
ぴゅぅ、ぴゅうー、
ぷすぷす。
へったくそな口笛を
ふいて、何人かの男
子がはやし立てる。



