「あたしね、
今、体育館」
すぅっと冷たい風が
流れてきた。なぜか
線香くさい。
「あたしの赤ちゃん
踏んだでしょ?」
切れそうなくらい細
い声が水滴のように
、耳に落ちてきた。
目をぎょろつかせ、
うす暗闇を探る。
「ほら……これ」
眼球のない女の生首
が、目の前に明るく
浮かびあがる。今し
がた血液をかぶった
みたいに、ぬれそぼ
っている。赤い液体
がしたたりおちる。
ぽた、
ぽた、
ぽた。
それを持つ指先には
、焼けただれた顔の
和服の女。野太い悲
鳴があがる。あっけ
なく失神した。
「ナミさん!?」
叫んだものの女達に
心配する余裕はなか
った。



